吉永優衣11秒94を10m区間分析|2026日・韓・中ジュニア女子100m

レース分析

2026年8月25日の第34回 日・韓・中ジュニア交流競技会・女子100mで、吉永優衣選手(長崎日本大学高校3年)が1位となったレースを分析します。映像では速報段階の「11.95」が確認できますが、日本陸連の公式リザルトは11秒94(+1.1m/s)です。本記事は公式確定値の11秒94で統一しています。

先に結論
最大の特徴は、30〜60mで10m区間を1.10秒→1.06秒→1.04秒と連続して短縮し、その流れを60〜80mの2.07秒までつなげた点です。映像推定の最高区間速度は60〜70mの約9.7m/s。終盤も大きな姿勢崩れを見せず、1位につなげました。

吉永優衣11秒94|公式結果

項目 内容 区分
大会第34回 日・韓・中ジュニア交流競技会・大会1日目公式
会場佐賀・SAGAサンライズパーク SAGAスタジアム公式
種目・順位女子100m・1位公式
記録・風11.94秒(+1.1m/s)公式
レーン5レーン映像確認

分析条件と数値の読み方

元映像は904×512、30fpsです。30fpsでは1コマが約0.033秒に当たります。映像はスタンド側からの追従撮影で、選手を追ってカメラが横へ動くため、距離地点には誤差があります。

  • 公式記録:日本陸連が公表した11.94秒
  • 10m区間:レーン形状、距離位置、フィニッシュ面と選手位置をフレーム単位で照合した映像推定
  • 想定誤差:各10mで概ね±0.06〜0.10秒
  • 接地時間:30fpsでは開始と終了を十分に分離できないため判定困難
  • スタート関連数値:音が撮影位置へ届くまでの遅れがあり、映像と同期しないため掲載対象外

以下の区間値は公式スプリットではありません。小数第2位は映像上の比較に使うための表示であり、光電管による公式計測と同じ精度を意味しません。

10m区間タイム・通過タイム・平均速度

区間 区間タイム 通過タイム 平均速度 区分
0〜10m2.10秒2.10秒4.76m/s推定±0.08〜0.10秒
10〜20m1.25秒3.35秒8.00m/s推定±0.07秒
20〜30m1.16秒4.51秒8.62m/s推定±0.06〜0.07秒
30〜40m1.10秒5.61秒9.09m/s推定±0.06秒
40〜50m1.06秒6.67秒9.43m/s推定±0.06秒
50〜60m1.04秒7.71秒9.62m/s推定±0.06秒
60〜70m1.03秒8.74秒9.71m/s推定±0.06秒
70〜80m1.04秒9.78秒9.62m/s推定±0.06秒
80〜90m1.06秒10.84秒9.43m/s推定±0.07秒
90〜100m1.10秒11.94秒9.09m/s推定±0.08秒

4局面の数値比較

局面タイム平均速度映像評価
0〜30m4.51秒6.65m/s初期加速
30〜60m3.20秒9.38m/s連続的に区間短縮
60〜80m2.07秒9.66m/s推定最高速度局面
80〜100m2.16秒9.26m/s低下幅を抑えて完走

0〜30m|前へ進む角度を保った初期加速

0〜30mは推定4.51秒です。最初の数歩では上体の前傾を残し、接地のたびに腰だけが先に浮く形にはなっていません。20〜30mの区間は1.16秒で、10〜20mの1.25秒から0.09秒短縮しています。

映像は斜め前方からのため、接地位置をセンチ単位で評価することはできません。一方、頭部・背中・骨盤の位置関係が急に折れず、腕振りと脚の切り替えが同じ周期で進んでいる点は確認できます。

30〜60m|1.10秒から1.04秒へ連続短縮

G1:このレースの最大の長所です。30〜40mは1.10秒、40〜50mは1.06秒、50〜60mは1.04秒。3区間連続で短くなっています。

ポイントは、上体を一度に垂直へ起こしていないことです。起立が段階的に進み、腰の高さを保ったまま脚が身体の下へ戻っています。姿勢を変える動作と速度を上げる動作がぶつかりにくいため、30m以降も加速が途切れません。

60〜80m|1.03秒・1.04秒で最高速度を維持

60〜70mは推定1.03秒、平均速度は約9.71m/s。続く70〜80mも1.04秒で、差はわずか0.01秒です。

この局面では、腕振りの周期、骨盤の高さ、上体の角度が大きく変化していません。脚を前へ運ぶだけでなく、接地へ向けて身体の近くへ戻す動きが続いているため、ステップ長(1歩で進む距離)を保ちながらピッチ(1秒当たりの歩数)も落ちにくい走りです。

80〜100m|低下は0.09秒に抑制

60〜80mの2.07秒に対して、80〜100mは2.16秒。20m単位の増加は0.09秒です。90〜100mは1.10秒まで伸びますが、上体が大きく後ろへ倒れる、腕振りが止まる、脚が長く後方へ残るといった明確な崩れは見られません。

I1:さらに伸ばす余地としては、80m以降の接地点です。終盤は腰の鉛直線よりわずかに前へ接地するフレームが増えています。中盤と同じく身体の近くへ接地できれば、60〜70mの1.03秒から90〜100mの1.10秒への増加をさらに小さくできる可能性があります。これは映像に基づく技術的な見立てであり、記録向上を保証するものではありません。

ピッチ・歩数・ステップ長の推定

指標推定値確度・理由
総歩数52±2歩中〜低。脚の重なりあり
全体平均ステップ長1.92±0.07m/歩100m÷推定総歩数
30〜60mピッチ4.6〜4.8歩/秒接地周期のフレーム追跡
60〜80mピッチ4.7〜4.9歩/秒推定最高速度局面
60〜80mステップ長約2.0m/歩距離÷推定歩数

ピッチだけを高くする走りではなく、中盤以降に約2.0m前後のステップ長を確保しながら4.7〜4.9歩/秒の周期を組み合わせている点が特徴です。ただし、脚が重なる場面があるため、歩数とステップ長は範囲で評価しています。

フォームの良い点

G1:立ち上がりと加速が連続している

30〜60mで上体だけを急に起こさず、区間タイムを1.10秒から1.04秒へ短縮しています。数字と映像が一致する長所です。

G2:最高速度局面の姿勢変化が小さい

60〜70mと70〜80mの差は0.01秒。腰の高さと腕振りの周期が保たれ、速度に達した後の動作変化が小さく収まっています。

G3:終盤も腕振りが止まらない

80m以降も腕が前後方向に動き続け、脚の切り替えを支えています。終盤20mの増加を0.09秒に抑えた一因と考えられます。

さらに伸ばすための技術的な確認点

I1:80m以降の接地点を身体の近くへ

終盤は接地脚が腰の鉛直線よりわずかに前へ出る場面が増えます。前方で接地すると、身体が足の上を通過するまでに時間が必要になり、速度低下につながりやすくなります。

I2:フィニッシュ前の上体位置

フィニッシュ手前では中盤より上体がわずかに起き、肩の上下動も少し増えます。ただし変化量は小さく、明確なフォーム崩壊とは判定しません。より正確な評価には、真横から固定した高fps映像が必要です。

この映像では判定できない項目

  • 接地時間の正確な値
  • 左右差
  • 接地位置のセンチ単位評価
  • 公式の10mスプリット
  • 号砲と完全同期したスタート関連数値

より精密に測定するには、100〜240fps、真横固定、10m目印が同一画面に入り、スタート合図と映像が同期した素材が必要です。

総合評価

吉永優衣選手の11秒94は、30〜60mの連続的な加速と、60〜80mの速度安定が中心となったレースです。推定10m区間は60〜70mの1.03秒が最短で、続く70〜80mも1.04秒。最高速度へ達した後も走動作の形を保ちました。

終盤は90〜100mが1.10秒となりますが、大きな崩れではありません。技術的な焦点は、80m以降も接地点を身体の近くへ収め、中盤の姿勢と腕振りの周期をフィニッシュまで残せるかです。

主な確認情報: 日本陸上競技連盟「第34回 日・韓・中ジュニア交流競技会」

タイトルとURLをコピーしました